第26号

「宇野理論を現代にどう活かすか」Newsletter(2-26号—通巻第38号—)

「宇野理論を現代にどう活かすか」Newsletter(2-26号)

発行:2019年6月17日

 

「宇野理論を現代にどう活かすか」Newsletter(第2期第26号-通巻第38号-)をお届けします。今回のNewsletter(は、価値論・国際価値論特集として特集論文2本を掲載します。今回の2論文では主に価値論が対象になり、塩沢由典氏の現代古典派価値論と小幡道昭氏の変容論的価値論が対象とする資本主義市場像の共通点と問題意識の違いが明らかになり、今後、建設的な価値論論争に発展する可能性が出てきました。

第1論文、塩沢由典氏「現代古典派価値論の中核と外部」は、小幡論文(Newletter 2-21-1)と江原論文(Newsletter 2-21-2)の現代古典派価値論批判に応えるものである。まず前半で、塩沢理論には貨幣論がないという江原氏の批判に応えて、価値形態論ではなく現代資本主義を分析するための貨幣論が必要であると論じる。後半では、小幡氏の「在庫と貨幣の実在する市場」を裁定取引による投機の場と理解したうえで、一定の価格体系のもとで利潤が得られる市場での経済分析が必要であると論じる。

第2論文、小幡道昭氏「変容論的価値論の中核と外部(1)」は、塩沢論文の需給関係から独立に決定される「市場価格」の概念を再検討する。スラッファの価格は生産価格を対象とする社会的再生産レベルのものであり、現代古典派理論の市場価格は同一産業の利潤の「上乗せ率」が同一である市場価値レベルの価値である。変容論的価値論では価格は個別資本、産業資本、社会的再生産の3レベルで検討する。個別資本ごとに利潤率が異なる市場価格、同一産業レベルの市場価値、社会的再生産レベルの生産価格の関連が経済分析の対象となる。この観点からは、貨幣に関しても、価値形態、価値尺度、流通手段、蓄蔵貨幣の機能を明らかにする必要がある。

なお、第27号では価値論・国際価値論関係の論文、また商業資本論やその他の論文を募集します。第27号の投稿締め切りは2019年8月末です。

編集担当 横川信治yokokwa [at] cc.musashi.ac.jp

 

【ワーキングペーパー】

  1. pdficon塩沢由典 「現代古典派価値論の中核と外部」
  2. pdficon小幡道昭 「変容論的価値論の中核と外部(1) 」

【一括ダウンロード】

  1. pdficon一括ダウンロード(PDF形式:1.1MB)

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国際学術誌The Japanese Political Economyが新しい国際的な編集委員会のもとに、内容を一新して再出発しました。42(2016年)と43(2017)年が、欠巻をなくすために合併号としてオンラインと紙媒体で発行されています。44巻合併号(2018), 45巻I-II(2019), 45III-IV(2019) もオンラインで発行されています。
The Japanese Political Economy のアブストラクトは EBSCOhostEconLitProQuest等に掲載されています。

Vol 42 I-IV (2016)

Vol. 43 I-IV (2017) "Structural Changes in Asia: does the services sector lead growth?"

 Vol. 44 I-IV (2018) "Is a feminist perspective necessary for understanding the economy?"

Jayati Ghosh. Introduction (Free access)

Diane Elson, “Intersections of Gender and Class in the Distribution of Income.”

Jayati Ghosh, "Gendered labour markets and capitalist accumulation."

James Heintz, “Gender, Population Dynamics, and Growth: The Interplay Between Economic Structure and Demographics.”

Franklin Obeng-Odoom, “Critique of Development Economics”

 

Vol. 45 I-II (2019) “Money, Finance, and Capitalist Crisis”

Costas Lapavitsas and Nobuharu Yokokawa. Introduction. (Free access)

Costas Lapavitsas, "Profitability trends in the era of financialization: Notes on the US economy."

Junji Tokunaga, “The Comparative Advantage of the U.S. Shadow Banking System and the U.S. Dollar.”

Engelbert Stockhammer, "Building blocks for the macroeconomics and political economy of housing."

Makoto Nishibe, "Marx’s  Financial Capitalism."

François Chesnais, “Financialization and the impasse of capitalism.”

 

Vol. 45 III-IV (2019) "Is the Uno School approach relevant to understanding present-day capitalism?"

Richard Westra, Introduction. (Free access)

Makoto Itoh, “How to Apply Uno Theory to Contemporary Capitalism in Multiple Crises.”

Thomas T. Sekine, “The Legend of Unoism in Japan.”

Richard Westra, “An Unoist Perspective on the Agrarian Question in Capitalist Development.”

Robert Albritton, “Buy Now, Pay Later: The Great Unravelling of the Commodity-form.”

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