人並み以上の経済学に脱皮するために
河西 勝(北海学園大学)
宇野原論に見られる二部門分割すなわちⅠ生産手段生産部門とⅡ生活資料生産部門への
分割は誤りなので、それを、Ⅰ中間財生産部門とⅡ最終財生産部門への分割に訂正し、
さらに再生産表式を産業連関表に関連づける。
Ⅰ中間財生産部門における商品資本の循環;
C`1―M1・M1―C1(労働用益wL、固定資本用益rS、原材料などgHQ)・・・P1・・・C`1
Ⅱ最終財生産部門における商品資本の循環;
C`2―M2・M2―C2(労働用益wL、固定資本用益rS、原材料gHQ)・・・P2・・・C`2
この場合に、Ⅰ部門での取引{C`1―M1}・{M1-C1}に対応する取引は、
{(M1/gHQ + M2/gHQ)―(C`1/gHQ + C`2/gHQ)}・
{C1/wL/rS/gHQ)― M1/wL/rS/gHQ)}。
またⅡ部門での取引{C`2―M2}・{M2-C2}に対応する取引は、
{(M1/wL /rS + M2/wL/rS )― (C`1/wL/rS + C`2/wL/rS )}・
{C2/wL/rS/gHQ -M2/wL,/rS /gHQ}。
ゆえに ⅠC`1(wL+rS)=ⅡC`2(gHQ)、およびⅡC`2(gHQ)=ⅠC`1(wL+rS)。
つまりⅠ部とⅡ部門とは互いに需要するものを供給する関係にある(均衡的需給関係)。
さらに産業連関表の等式、すなわち生産物(ここでは中間財及び最終財)における
供給(分配・固定資本減耗を含む)部門(C`1+C`2)=需要(固定資本形成を含む)部門(M1+M2)。
総供給{C`1(wL+rS+gHQ)}+C`2(wL+rS+gHQ)}
= 総需要{M1(wL+rS+gHQ)+ M2(wL+rS+gHQ))
かくて再生産表式、したがってまた産業連関表は、あらゆる社会に共通
な経済原則を私有制と商品形態をつうじて実現するものとして、純粋資本主
義社会の特殊歴史性を証明する。また原論における産業連関表は、政府関連と国際関
係を含めた一定のルールの下に、国民経済計算上の産業連関表に応用される。要するに
後者は、前者によって、その一般均衡成立の特殊歴史性を明確にされる。
以上の再生産表式の訂正は、流通論・生産論・分配論の抜本的な修正へと拡張され、
さらに宇野が真に求めた三段階論の成立を可能にさせる。
以上。 2007年11月6日 記